泣かないで。と、君の泣き顔を見つめて願う。
悲しまないで。僕がいる。僕がここにいるよ。
その頬を流れる涙を拭ってあげる。肩を震わせながら泣く君を抱き締めてあげる。
触れたら壊れてしまうんじゃないかと、不安になる。その細い肩が、白い肌が、簡単に割れてしまう陶器のようで、本当は僕も触れるのが少し怖い。
それでも、君を慰めたい。君の心を理解してあげたい。優しく包んであげたい。
そうして、君に初めて触れた。
君は一層声を大きく上げた。
『泣かないで』
11/30/2023, 10:20:40 PM