れもねーど

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「なん...で?わ、たし...あ、なた...を、あ、い...してっ............!」
「ごめん、ごめんね。ほんとに、ごめん...自分勝手でごめん。辛いよね。痛いよね。でももう、これしか...ないんだ。」

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赤く染まった■■が異様な匂いを放つ。急いでキャリーケースに入れて、臭いも閉じ込める。手袋をして、指紋は残らないように。
赤く染まった床を雑巾できれいに拭く。指紋が残らないように。誰かに見られないように素早く。でも慎重に、慎重に...
「よし、おっけ。」
緊張していたからか、汗がブワッと噴き出す。ふぅ.........赤い床は綺麗な真っ白に戻った。証拠隠滅。完全犯罪だって夢じゃない。僕は、なにも...僕は!.........なにもしてない。
机の上にあらかじめ用意していた「失踪の手紙」を置く。字体もアイツに寄せたから、バレることはない。
玄関に置いていたキャリーケースに目をやると、血が染み込んできているようだった。急いで車に乗り込み、山奥へ出かける。キャリーケースと一緒に。
山奥に、キャリーケースから取り出した■■を埋める。そして、キャリーケースは別のところに捨てる。......かんぺき。
また急いで車に乗り込む。微かに血の臭いのする車にファ◯リーズをして、微かな臭いすら消した。もう、未練はない。後悔はない。罪悪感は...ちょっとあるかもだけど。

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「もう夕暮れか。」
車の窓から外を眺める。
...たそがれ時の空は、いつもより赤黒く染まっていた。

#たそがれ

10/2/2024, 8:53:06 AM