「ずっと一緒だよ。」
彼女が言う。僕は小さな声で、嘘つきと呟く。
「私、もうすぐで死ぬんだ。」
彼女は涙目になりながら、平然を装うように言った。やっぱり。薄々気づいていた。それでも、知らないフリをして黙っていた。彼女の死が怖かったんだ。そんな足掻きは、今では無だ。僕たちは、静かに泣いた。
僕は最後の日まで、彼女のそばに居続けた。だんだん弱っていく彼女を見るのは、心が痛んだ。それでも、見届けないと。それが彼女を愛したものの義務だ。僕は、彼女の前では、涙を堪え作り笑顔を貼り付けた。
彼女の死から何日が経っても、僕の世界は真っ暗だった。それほどまでに、彼女の存在は大きかったのだ。
「愛は世界を救う。なんて、馬鹿らしいよな。」
愛があっても、彼女は救われなかった。世界は残酷だ。綺麗事ばかり並べやがって。僕は世界を睨みつけた。
『君はすごいね。世界に向き合えているんだね。』
懐かしい声に、振り向く。そこには、彼女が居た。
『私は逃げてばっかだったな〜。死ぬのが怖かったんだ。でもね。君のお陰で私は、息ができたんだよ』
ありがとうと彼女は言い、姿を消した。
僕は今、君が死んだ病院の屋上に居る。
「僕も、世界が現実が怖いよ。でもね。君が僕の太陽になってくれたから、僕は生きれたよ。」
愛してると言った。愛なんて幻想に過ぎない。愛があっても何も変わらない。それでも、今日だけは愛に感謝した。愛があったから、僕は彼女の下に逝けたんだ。
5/16/2024, 3:06:35 PM