―誰もがみんな―
誰もがみんな強いわけじゃないの!
あなたは強いから、悲しんでも悔やんでも、
時間の無駄になるだけだって思って、
切り捨てられるのかもしれない
でも!誰もがみんなそうだとは限らない!
少なくとも私たちは、あなたとは違うの!!
目の前の子が、涙目でそう叫んだ
周りで蹲る子たちも
しくしくと泣いていた
叫んだその子は、周りの子たちを
私から庇うように守るように立っていて
決死の形相でこちらを睨んでいた
叫び声で初めてその残酷な光景に気がついた
私も強いわけじゃない
元々は弱かったし
今でも十分脆い
周りから強く見えるのは
強がっているからだ
強いようにみえているのなら
それは本望
でも、こんなのは望んでいなかった
叫び声をあげていたその子は
よりいっそう声を張り上げて叫んだ
その叫び声と共に、崩れ落ちて泣いた
言葉ではなかった
ただ、悲壮感に染まった声だった
幸いにも泣き叫ぶ子たちの声に
掻き消されてしまったようだが、
私はそれを
『煩い』
と言って遮った
無意識だった
だから、自分の低く尖った声にも驚いた
あぁ、私は
いつから本当に強くなったんだろう
強くなるためにどれほどのものから
目を背けてきたんだろう
そして
いつの間に
こんなに“冷徹”になってしまったんだろう
2/10/2023, 1:16:14 PM