人との関係はお互いの努力の上に成り立つもの
そう思ってきた
だから君といるとき
どれだけ腹が立っても
どれだけ悲しくなっても
どれだけ苦しくても
どれだけ涙が流れそうになっても
必死に何気ないふりをして誤魔化した
その代わり明るい感情は
誤魔化したりなんかせずに素直に表に出すようにした
普段感情を押し殺しているから少し難しかったけれど
君の隣ならなんだか自然にできていたと思う
そんな気がしてる
…いや、勝手にこちらが思い込んでいただけだった
隠しきれてはいなかったようだ
壊れないように、壊さないように
バレないように、隠し通せるように
努力してきたつもりだったけれど
君は隠すのがうまいよね
君は全部知ってたんだ
「無理しないで」
「隠す必要なんてない」
心配そうな困ったような微笑み
耳が溶けそうな優しい声
無機質な人形じゃない、人の温もり
包み込むように握られた右手
頭の左半分を覆う大きくて柔らかい手の感触
何気ないふり、なんてできるわけがなかった
君の胸元を濡らしていくこの涙を、とめることはできなかった
3/30/2024, 1:32:47 PM