藤枝

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「いや、なんて暴風なんだっ」

 朝からの強風は、仕事終わりの帰り道も変わりなく吹き荒れていた。

 あまりに強い風が洗濯物をぐちゃぐちゃにし、私の髪の毛もぐちゃぐちゃにし、ベランダに置かれた荷物もぐちゃぐちゃにしてゆく。

「ああもう……」

 空は分厚い雲に覆われていて、沈む夕日が欠片も見つけることができない程だ。

 一雨来る前に帰宅出来てほんとに良かったが、こんな強風のなかじゃあ夜はうるさくて眠れないかもしれない。


「うーん、せっかくの週末だし、こんな日は眠るのを諦めてしまおうか」

 息をつくと、作業部屋へと行き分厚い本を手に取ると、夜明け近くまでそれを読みふけった。




4/7/2023, 3:23:04 PM