しじま

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 さよならを言わなければ、別れも辛くないと思ったんだ。

だから、ちょっと散歩に出掛けるように、最愛の君の元から去った。

こんな身勝手な自分のことなんか、キレイさっぱり忘れて、君にはこれからの人生も生きてほしかったから。

 でも、今は後悔してる。

きちんと、別れを告げれば良かったと。


 「隠れ家」の白い壁を見飽きた頃、君に此処がバレてしまった。

その頃にはもう、終わりがすぐそこまでやってきているのが、自分でも分かる位に弱ってきていて。

 筋肉が落ちて上げるのも億劫になった腕を何とか動かして、「隠れ家」に突撃してきた君を肩を優しく撫でた。

君には見せたくなかったんだ、自分のこんな姿を。


テーマ「たった一つの希望」

3/2/2024, 5:07:21 PM