かたいなか

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「カレンダーっつーか、スケジュール帳ってさ、
アレよく後半にフリーメモ用のページあるじゃん。
昨日からそのフリーページに、アプリの投稿のネタになりそうな出来事書き溜めてみてるんだわ。
っていうのも、そのスケジュール帳のカレンダー部分に、去年から『その日どんなお題が配信されたか』ってのを記録し続けててよ」

書く習慣のアプリ入れてから、もう561日だとさ。1年と半分とっくに過ぎたのな。
ポツリ言う某所在住物書きは、記念日アプリ内のカレンダーを見詰めながら、感慨深く息を吐いた。
約560回、現代風の連載モドキを書き続けて、分かったことがあった。
すなわち「このアプリで連載の物書きを続けるにはネタを収集し続けるのが大事」という基本である。

「だって、特定のジャンルが重複しやすいんよ」
物書きは言う。
「エモネタ、雨系、年中行事ネタだろ、あと恋愛。
特に雨よ。だって下手すりゃ今週の日曜……」

――――――

最近、ちょっとだけアナログを取り入れてる。
というのも先日、ビジネスバッグを昭和レトロな学生カバンのリメイク品、すなわち学生カバンに金具を取り付けてショルダーバッグにしたやつに変えまして。
しかもこれが、
私が好きなゲームの登場キャラが、所属してる組織のビジネスバッグの、
コミカライズ版バージョンにほぼほぼそのまんま登場してる「現実のモチーフ」でして。

日頃カレンダーアプリっていうか、スケジュールアプリしか使ってない私は、
バチクソ、どちゃくそ久しぶりに、紙のカレンダーなスケジュール帳を持ち歩くようになった。
……「紙の」スケジュール帳。『紙の』だって。
すごいよね。私が子供の頃は、それこそ日記帳あたりとか、普通に紙製がまだメジャーだったのに。

「どこのスケジュール帳?」
「セレクトショップ。『今月のチェッキー』とか『本日のプリクーラ』とか貼るスペースがあるの」
「カレンダーアプリでよくない?」

「付烏月さん。ツウキさん」
「なーに」
「『今月のベストよく作れたクッキー』」
「はぅっ!」
「『本日のカップケーキ試作品』」
「うあぅぅッ!」

「付烏月さんの趣味のお菓子作り、楽しくなる」
「たのしくなる!」

週の真ん中が過ぎて、あとは今日と明日と、土曜日の午前営業だけっていう私の職場のお昼休憩。
まだまだ書き始めたばっかりのせいで真っ白が多いスケジュール帳を見てたら、
今年の3月から一緒に仕事してる付烏月さんが、アナログ久しぶりって寄ってきた。
「今じゃお財布もカレンダーも、写真のアルバムだって、スマホで完結しちゃうもんね」
「ねー。便利な世の中になったよね」

ぱらり、パラリ。白いスケジュール帳をめくる。
横7枠、縦4〜6枠に区切られた見開きには、
その日その日それぞれに、思い出の画像なりプリクーラなりを貼れる小さなスペースが設けられてる。
昨日の私は昨日の枠に、すっッごく美味しくて感動したチョコクリームフラッペを貼った。

「あのね。この店のフラッペ、」
この店のフラッペ、すごく美味しかったの。
そう言いたくて、なによりその店を付烏月さんと共有したくて、 もう、無意識だ。

私は紙のスケジュール帳に貼った、チョコクリームフラッペの小さな画像を、
人さし指と親指で、ピンチアウトしてた。

「……」
「後輩ちゃん。それ、スマホじゃないよ」
「あっ。……やだ。クセで」
「わかる。俺もやっちゃう。てか先週やった」

「便利な世の中になったよね」
「ねー。ホントに便利になったよね」

いつかガチで、拡大縮小できるデジタルを、ぺたぺた紙に貼っ付けられる日が来たりするのかな。
私と付烏月さんは「やぁね、」「やーねぇ」して、
それから、私は紙のカレンダーなスケジュール帳を自分のバッグに戻す。
その後はいつもと同じお昼休憩、お昼ごはん。
スマホいじって皆でダベって、コーヒー少し。
アナログのカレンダーは検索も拡大縮小もできなくて、今となっちゃ少し使いづらく感じるけど、
それでも楽しいから、もう少し続けることにした。

9/12/2024, 2:55:27 AM