Una

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彼女の麻衣とはずっと付き合っていけると思っていた。
誰から見てもラブラブで、結婚まで行くと確実に悟っていた。最近同棲も始めて、最初は喧嘩も多かったけれど、お互いがちゃんと気持ちを伝え合い、受け止めることを約束してからは、順風満帆と言えるほどの楽しい毎日だった。同棲を始めて、彼女の嫌な部分を見つけたこともあったけど、それより隙がありすぎる彼女の姿を見ていると、そんな嫌なところは忘れて、好きが溢れていた。だからこそ、デートは毎月欠かさなかった。可愛いと伝える日が無かったことは無いし、自分磨きも怠らなかった。
誰から見ても美男美女のラブラブカップルに見えるように、努力してきた。そのつもりだった。

急に彼女が別れを口にした時、僕は腰が抜けた。なんで、という疑問と驚き。僕の何がダメだったんだろう、と理由を頭の中で模索した。
デートの時の服装のセンスがなかったのだろうか。愛情表現が足りなかったのだろうか。何か彼女が嫌がることを無意識にしてしまっていたのだろうか。どんな理由を探したって、彼女の答えは変わらないようで。頭が忙しなく動いている僕を置いて、彼女はもう一度、分かりやすくはっきりと別れを告げた。
「慎二のこと、大好きだったよ。」
最後の一件のLINEで、僕のさっきの疑問や驚きや悲しみは一瞬にして消え、腹立たしさを感じた__


彼氏の慎二のことはずっと好きでいられると思っていた。誰からどう見たってお互いを愛し合っていたし、同棲を始めた今は、お互い気持ちを伝え合うこと、受け止め合うことを約束したからか、前よりももっと彼のことが好きになっていた。部屋着のセンスがダサいところも、足が少し臭いところも、キスをする時に鼻息が荒くなるところも、どんなところも彼なら愛おしく感じた。それくらい私は彼のことが好きだったし、彼に飽きられないように自分磨きにも力を入れた。サプリメントを飲み始めたり、ブランドのものの化粧品を使ってみたり、エステに通ってみたり、脱毛を始めたり。彼と釣り合うためには何だってしてきた。なのに。

実家に帰っていた彼が、家に戻ってくる時に来た一通のLINEに、私の目は見開かれた。
「これから帰るね。麻衣が恋しかったよ。」
あぁ。彼は私のことを愛してくれていなかったのか。そう実感した途端に、彼への熱は冷めきってしまって、もう彼への想いが元に戻ることは無かった。
彼は私のどんなところも褒めてくれて、可愛いって言ってくれて。例えそれがお世辞だったとしても、私には凄く嬉しかった。だから私も、彼のどんなところも好きで、どんなところを見ても愛おしかった。
でも彼は、私の事、本当はどう思っていたんだろう__

__慎二って
__麻衣って 「誰」

「一件のLINE」

7/11/2024, 3:12:10 PM