忘れたくても忘れられない
多分 あの一言は人生の中で一番素晴らしい言葉だったのだろう。今でもその言葉で生きていると言っても過言ではない
大学当時、彼女は近寄り難い存在だった。
美人過ぎてみんなから冷たい印象を与えていたからだ。そしてなにより年上で既婚者だった。
他人との上辺の会話はあるが孤高という存在だった。
私なんかとは一生交わる事もない存在、そんな風に思ってた。
時は経ち、ふとしたきっかけで話すようになる。
彼女と私が同じグループで話すようになり、いつの間にかどんどんと仲は良くなっていつしか二人で並んて話すようになった。
彼女は大抵一人だったが、学校に来るといつも私を探し出してホッとしたように笑顔をくれた。
そんな彼女が眩しくて仕方なかった。
彼女の深い悩みを黙って聴いて適切なアドバイスを繰り返した。
どうか旦那さんと上手くいって彼女が幸せになるように
そんな事しか考えられなかった。
彼女は私を必要としているし、私も彼女に必要とされたかった。
ほんとは大好きだったけど適切なアドバイスをしている人間が倫理を外す事などできず、いつかいなくなる彼女を密かに想ってた。
授業が終わり彼女を車で最寄りの駅まで送る。
その時、急に彼女は改まって話したい事があると言った。
貴方のお陰で私は良い方向に進むことができたの、ありがとね
こちらこそありがとうと伝えたけど
なぜだか泣きそうになった
私がいたから貴方が変われた。
そうそれがその当時の生きる意味だと思った。
彼女とはもう会うことはない
時が経ったがふと思い出す。
友人に付き合ってるの?と尋ねられて顔を赤らめて否定してる私の姿を笑いながら彼女は覗き込む。
あの時 確かに
私がいたから彼女は変わったんだ
10/17/2023, 10:44:53 AM