"この世界は不条理だ"
そう言っていたクラスメイトがいた。
友達でもなければ、大して仲良くもなかった。
彼は頭が良かった。よく周りの人と切磋琢磨しあっていた。
彼の周りにはたくさんの人が集まった。いじられキャラであったからなのか、一人でいるところを見たことがなかった。
いじられればそれに勢いよく、強気に言い返す。それが彼なりのスタンスであったのだろう。
ある日から彼と仲良くなった。帰路や放課後を共にした。だからと言って恋愛感情、その他特別な感情が芽生えたりはしない。今までと変わらず、あくまで"クラスメイト"として、"彼は彼"、"私は私"であった。
そして彼は言った。
"全員同じ高校行こう"
嬉しかった。嘘であっても、そう言ってくれる程には心を許してくれていたのだと。けれど私たちは全員違う高校に行くつもりだ。だからせめても、皆が受かればいいと思った。そうすれば笑ってまたいつか会えるから。
そんな期待を胸に合格発表を待った。
私たちの中で1番頭の良かった彼だけが、不合格だった。
あの日、君が待ち合わせの場所に来なかったのはそういうことだろう?
きっともう、会って話すこともない。
彼の行く先を、私は知らない。
彼はただのクラスメイトだ。たった1年間だけの、クラスメイト。
この世界は不条理だ。だけど君と過ごした日々は、あの4人は、私にとって大切な思い出。
貴方の未来に、幸あれ。
3/18/2024, 9:19:49 PM