あまり感情を表に出すタイプじゃないあなたの表情が読み取れるようになったのはいつからだっただろう。
「感情が死んでるよね」
そう茶化されたことが気に食わなくて、頑張って意思表示しようとする最近のあなたは、嘘をついて生きているような気がした。
涙はこぼれない。でもあなたは少し悲しそうな目をした。
ふわりとカーテンが風と踊る。
開かれた窓から舞い込んだ風と暖かな陽射しが、まるで私たちを誘っているようだ。
おもむろにぱっとあなたの手を取る。小さくて細い手。驚いたように目を見開いたあなたを見てああ愛おしいな、なんて思う。あなたはあなたのままでいい。その細やかな表情の移ろいは、私だけが分かっていればいい。
立ち去った部屋には揺れるカーテンだけが取り残されていた。
『カーテン』
10/11/2023, 12:03:44 PM