kiwr

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「君は今、さみしいんじゃないの?」
 そう言われても、その実感はなかった。ただ、とても腑に落ちた感じがした。
 ここ最近妙に胸騒ぎがして、自分の周りを見ていると変な焦りがあった。とてつもない不安と憂鬱に襲われることもあった。
 これって、孤独か。
「さみしかった、のかな。」
 いつの間にか、自分の中のその感情を打ち消そうとしていたのかもしれない。こういうものだって。
 誰だって変わっていくものだ。親しかった人たちとの距離感だって、親密さだって、変わる。離れていく人、もっと馬が合う相手を見つける人、疎遠だったけど前よりもっと近くなる人。
 そういう人間との関係に疲れて、できるだけ俯瞰して見るようになっていた。そうすると気がつけば人と関わることが怖くなっていたんだ。
 大きな交差点で、誰とも目が合わず、まるで自分が透明になったかのような孤独。
「大丈夫。僕は君を見てるよ。」
 思わず喉にこみ上げるものがあった。嬉しさと優越感と、同時に臆病な自分を知った屈辱。でもその言葉はずっと、心から望んでいたものだったように思う。
 自分のことを見てくれる存在。自分はここにいる。

2/26/2023, 4:55:53 PM