謎い物語の語り手

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【こぼれたアイスクリーム】

「わたし、ずっとひとりぼっちだろうな」
暑さでこぼれたアイスクリームを気にも留めない様子で彼女は呟いた。

私の友達である彼女は、いつもなにかしら誘ってくれる。今日はアイスを食べに行こうって誘われて、今こうして一緒にいる。

「ひとりぼっち?私がいるのに」
私は驚いて声を上げた。彼女は少し目を見開いて、誤魔化すように慌ててアイスを気にし始めた。

「あーあ、もう一回買ってこようかなぁ」
「私が奢ろうか?」
「いーや大丈夫」

彼女はアイスクリームを拭くとため息をついた。
どうしてひとりぼっちなんて言ったんだろうって、ずっと気に掛かった。

その日から彼女は誘ってこなくなった。彼女はよく誰かを連れ出すような性格だったけど、しばらく誰も彼女と遊ばなかったようだった。

心配していたけど、彼女から連絡はなかった。

もう二度と会わなくなって、彼女の連絡先も失くしてしまって気付いた。

私は彼女の連絡を待つだけで、彼女に連絡を取ろうとしたことはなかった。そしてみんなもそうだった。

ああそうか、私には彼女がいたけど、彼女には私も、誰もいてくれなかったんだね。

8/11/2025, 5:31:00 PM