霜月 朔(創作)

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愛情



月明かりだけが静かに揺れる、
暗く、冷たい部屋。
硬い床に横たわる貴方。
その胸に広がる赤。
私の手に染まった、愛の証。

鼓動は弱く、呼吸は儚く。
貴方の温もりが、
少しずつ冷たさへと、
変わっていきます。

私はこの口唇で、
貴方の最期の一息さえ、
貴方から奪い取ります。
これも…私の愛情なのですから。

貴方を、愛しています。
静かに閉じた瞳に、
そっと囁きかけます。

もう、貴方を苦しませるものは、
何もないのです。
この汚れた世界から、
貴方を解き放つ為に、
私はこの手で、
貴方に永遠を捧げたのですから。

貴方の心も、記憶も、
全て私だけのもの。
他の誰かなんて、必要ありません。
貴方の嘗ての恋人なんて、
私達の物語には、
初めから、存在しないのです。

直ぐに、貴方の隣へ行きます。
だから、二人きりの世界で、
また微笑み合いましょう。

こんな私を…。
人は狂っていると言うでしょうか?
これは愛情ではないと言うでしょうか?
けれど、私は知っています。
これは…真実の愛情なのだと。

ですが、もう。
何も恐れることはないのです。
貴方の全ては、
私だけのもの、なのですから。
…永遠に。

11/28/2024, 1:44:52 AM