NoName14

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気が付けば、日没が早まり
遠く沈む太陽が
木々をシルエット状に映えさせる。

時折、肩をすくめるような風が吹き
上着のフードを、きゅっと寄せる。

遠く離れた、君の住む土地では
こちらより、ひと足もふた足も先に
冬が訪れる。

見上げる空は、君のもとまで
続いているのに

君の頬に触れては溶ける
粉雪が、俺の頬に触れることは
無いのだと。
無性に切なさが込み上げてくる
この気持ちは、なんだろう。

ただ、会いたい。

ふと過ぎる感情に
こぼれそうになるこの想いに
ポケットの中の手を
力いっぱいに、握りしめた。


【お題:冬のはじまり】

11/29/2024, 1:48:12 PM