とある恋人たちの日常。

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 この街に来た理由は一人になりたくないから。
 だから、大切な人を作りたい。
 そんな小さな夢を持っていた。
 
 でも今は私には家族のような人、仲間。
 そして誰よりも愛しい人と出会えた。
 
 そういう意味では、私の夢は叶ってしまっていた。
 
 恋人と一緒に住み、彼と過ごしているけれど新しい願いは特に思いつかない。
 それでもいいとは思うけれど、どうなのかな。
 
 そんなことを夕飯、彼に話してみた。
 食べる手を止め、色々な方向に視線を送っていて私の話を真剣に考えてくれている。
 彼が何かを閃いたようで、満面の笑みを向けてくれた。
 
「俺との未来は?」
「え!?」
 
 突然の言葉に驚いてしまう。だってこの言葉って……言葉って……。
 
「私と一緒の未来を夢見てくれるの?」
 
 少し不安に彼を見上げながら小さい声で言うと、困った顔で微笑んでくれる。
 
「俺は夢見てるよ」
 
 その言葉に耳が熱くなった。もちろん顔も熱い。
 
「……夢、見ていいの?」
「俺との未来の夢、見てよ」
 
 そういう彼の頬も少し赤くなっているように見えた。
 
 ああ、大好き。
 
「うん!」
 
 私の言葉に、彼も弾けるような笑顔をくれる。
 
 彼と一緒に過ごす未来。
 そんな夢へふたりで歩んで行こう。
 そう、ふたりで決めた日。
 
 
 
おわり
 
 
 
三二九、夢へ!

4/10/2025, 1:14:01 PM