赤月

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「この泥棒猫!」
「…出会い頭に水を掛けるのは如何なものかと思いますわ」
「白々しいわね。人の男に手を出しておいて!とぼけるつもり?」
「…身に覚えはないのですが、『人の男』とはどなたのことでしょう」
「一昨日、まさにここで!アンタ私の彼氏とデートしてたの知ってるんだから!」
「私の…彼氏」
「心当たりあるから私の誘いに乗ったんでしょ!?水かける程度で許してやるんだから、今後もう彼とは会わないで!」
「それは…無理ですわね」
「はぁ!?アンタ何様のつもり?私よりババアなクセに身の程知りなさいよ!私が彼の彼女だって言ってんの!!」
「ですが、わたくしは妻ですし同居も致しておりますので毎日顔を合わせるのは当たり前ですわ」
「え…」
「てっきり謝罪していただけるのかと思っていたのですけれど…出し抜けに暴行妄言暴言を受けるとは予想外でしたわね」
「な…はあ?」
「夫が選ぶくらいですから、わたくしほどでなくとも聡明であると考えていたのですが…甘かったようですわね」
「あ…あ…」
「わたくしはね、夫が妻以外に恋をしても良いと思うの。倫(みち)を外さなければ、ね」
「……っ」
「ただ、薬を使ってまで身体の関係に持ち込むのは流石に犯罪ですわよ?ですから夫が別れを告げましたでしょう?」
「で、でも…だって結婚なんてそんな…」
「おばかさんですわね」
「!!」
「毎度太陽の下で逢瀬出来ない相手が潔白だなんて、そんなわけありませんでしょう?」





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11/26/2023, 2:34:42 AM