三羽ゆうが

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瓦礫の中から立ち上がる。名前も、生きてきた過去も、何もかも奪われてしまったけれど。

目の前にいるのは、自分の“名前だったもの”で自己紹介している偽善者。自分を悪にして勝ち取った正義は美味いか。

「さぁ!皆で悪を成敗しよう!」

群衆から憎しみの視線が注がれる。そんなに自分が憎いか。自分はお前らに何もしていないのに。額に冷たい銃口が突きつけられる。

「俺達を騙した悪者め!その罪を死んで尚償え!」

もう抵抗する気すら失せた。好きにしてくれ。ほっといてくれ。


目の前の光が消えると同時に心の光も燃え尽きてしまったみたいだ。


『心の灯火』

9/2/2024, 1:14:40 PM