烏羽美空朗

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俺はよく、空を飛ぶ夢を見る。
夢を見る頻度こそ減ったものの、子供の頃から現在に至るまで、様々な夢の中でずっと空を飛ぶ夢ばかり見ていた。

翼で、というよりかは、自分だけ重力を無視して泳ぎ回るようにして、晴天でも、嵐でも、存分に楽しんでいた。
そして、それがあまりにも楽しいせいか、目が覚める度に、「ああ、また夢だったのか」と思ってしまうのである。

だからといって、現実でも飛べるように背中に翼があったほうが良いとは思わない。
そもそも、人間の重さでも飛べる翼となると、身体の何倍も大きく、体重の何倍も重いものとなる。そんなものを背中に担ぎながら歩けるわけがない。それに、白鳥を見るとわかりやすいが、翼を羽ばたかせる為に胸筋も鍛えないといけないし。

夢のことを考えた後にそんな夢もないことを考えながら、ベランダに雨宿りに来た烏達を見ていると、もふもふして、暖かそうで、この時期には特に羨ましく感じる。
ふむ、身体を包む為の小さな翼なら、有ってもいいかもしれない?

……いや、仰向けで寝れなくなる。やはり、人間の身体に翼は合わないようだ。

飛べない翼

11/11/2022, 12:38:21 PM