遠い日の記憶
4歳のとき、家族でパンダを見に行ったらしい。うっすらと記憶がある。
不思議なのは、パンダではなく、家族が列に並んでいる光景が頭に残っていることだ。離れたところからカメラで撮ったみたいな。
僕は父におんぶしてもらっている。その姿をなぜか自分が見ている。幽体離脱で飛び出た魂が、自分の体を見ているような、そんな感じ。
昔のことを思い浮かべるとき、似たようなことが度々ある。なぜか自分を自分が見ている。明らかに客観的な視線で。
自分の中に、もうひとり、知らない自分がいる。なんとなくそう思っている。
もうひとりの自分は、時々、僕の記憶を脳に映すだけ。他に何もしないし、何も言わない。
どうしてそんなことをするのか、若い時はわからなかった。
おそらく、僕にとって大事なものだから忘れるなよ、と気を利かせているのだと今は思っている。
僕は記憶力には自信がある。さすがに4歳の記憶は厳しいが、それでも大体のことは覚えているつもりだ。
もうひとりのおせっかいな僕。
いつか話がしたい。お前が何を考えきたのか。僕という人生がどうだったか。
7/17/2024, 10:21:21 PM