川柳えむ

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 ベルが鳴り響く。

 受話器の向こうの声が、私には理解できなくて。
 世界は深い闇に覆われて、そのまま夜が明けなくなった。

 思い出を綺麗に仕舞いたかった。
 でも、そんな簡単にはいかなくて。
 今は何もかもがぐちゃぐちゃに散らばっている。

 長い長い夜が続く。

 静かな煙が空へ立ち昇る。その煙は空に融け、星になった。

 深い闇の中で、あなたの星が輝いた。
 思うより、あまりにも綺麗に輝き出したから、このまま夜が明けなくてもいいや。と、そう想った。


『星になる』

12/14/2025, 10:38:33 PM