ケン坊

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『一年前の今日覚えてる?』
君は後ろを歩く僕にそう聞いた
『覚えてるわけないじゃん』
僕はいつものようにそう答えた

いつも通りの帰り道、なんの特別な事はなく、息を吸うような日常の中

『覚えてないの?ひどいなぁ』
少し不満気に君は顔を膨らませながら言った
本当になんの心当たりも無かった
『何もないでしょ』
僕の返答に君は間髪入れずに言ってきた
『君と私が一緒に遊ぶようになってから1年経ってるんだよ!』
そんな事かと呆れていた
『あーあ最初に遊ぶ時なんてドキドキして、一緒にいたのに飽きちゃったんですね〜!』
その言葉に僕は、少しドキッとしたような、寂しさを覚えた
確かに、初めて君と遊んだ時はどうしたら笑ってくれるんだ、楽しんでくれるんだと頭がパニックになっていたのを思い出した。
『いつかさ、私といるのが当たり前になってどんなことにも、心が鈍感になっちゃうのかな?なんか…寂しいね』
その言葉に僕は安心した。

5/8/2024, 6:39:20 PM