寄航 旅路🚢🗺

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私は午前9時過ぎ⋯福生駅に降り立った。

目的はいつもの旅⋯福生を訪れるのは今回で3度目になる。

東京都福生市、23区の人に聞いてもギリギリご存知ない人がいそうな自治体だと思う。「米軍横田基地」があるといえば伝わるのだろうか?

そんな福生旅も今回で3度目、今回のテーマは「裏の福生をもっと知る」だ。

福生には米軍横田基地があり、その基地沿いを通る国道16号沿いは「アメリカンストリート」としてアメリカに来たかのような風景が広がっている。福生市もこれを観光資源にしているようだ。

だがここはあくまで日本⋯福生市には福生市として歩んだ歴史がある。私はそれをもっと知りたいのだ。

先ずはアメリカンストリートを歩く⋯エルヴィス・プレスリーのブルーハワイでも聴きながら車で走ったらさぞかし楽しそうだ。

通りを歩いていたら市民団体に声をかけられた。どうやら米軍の法案関係のアンケートをとっているようだ。彼らも方向性は違えど、もっと知りたい人たちには変わりない。

だが旅は自由で無ければならない。そのポリシーに従って私はこう言った。「ご苦労様です。私はノーコメントで」

そんなこんなで横田基地の外れに来た。ここで多摩川方面に進路を変える。

古めかしい団地が見えた。ここは戦後の動乱期の福生市民を支えてきた場所なのだろうか⋯ブランコで1人揺れる老人の背中を見ながらふと思った。

途中玉川上水を渡る。周辺は遊歩道となっていて散歩する人が多かった。博物館で玉川上水沿いは近代から人々の憩いの場となっていることは知っている。

いかに時代が動こうと、この景色はこの先も残り続けていくのかもしれない。

多摩川に到着、奥に青梅丘陵の山々を見ながら歩く。

その先、旧市街な趣の通りを歩いていると、一軒の年季ある住宅を見つけた。

どうやら明治期の国登録有形文化財の住宅のようだ。中に入ると「よう来たね!見ていきな」とおじさんがお出迎え。

おじさんは聞いてもないけれど、私のもっと知りたいことを教えてくれた。

特に気になったのは、福生の旧市街のど真ん中を砂利輸送の鉄道が走っていたことだ。

それについて尋ねるとおじさんは「裏の蔵に写真あるから見ていきな」と言い、笑った。

私は蔵へ行き写真を見た。まるで蛇のように街の中をうねうねと走っているトロッコ列車がそこにあった。踏切もなく、今であれば考えられないが、普通の町中を確かに鉄道が走っていた。

福生市は酒造が盛んな地域でもある。そんな福生市は今も昔も多摩川のめぐみが育んだ地域であることを私は知った。

いつの間にか空は茜色に染まり、旧市街を淡く照らしていた。

見覚えのある景色だな⋯と私は思い足を止めた。そこは確かに写真で見た、かつてトロッコ列車が走っていた旧市街のY字路だった。

「ガタンゴトン⋯」私はカーブの向こう側から、石畳の道のど真ん中を大威張りで駆け抜けるトロッコ列車が来た気分になった。

「嗚呼⋯福生市のアメリカ以外の歴史もなんて尊いんだろう」私はもっと知れた喜びに浸っていた。

小腹が空いたのでスーパーマーケットのすみっこのマックを一口

「⋯あれ?、最後アメリカに戻ってきたな⋯」

マックはどうして中毒性が高いのか知りたい。

3/12/2024, 12:08:40 PM