甘々にすっ転べ

Open App

#殴り込んで思い出させる事にした。



自我の発生した瞬間を覚えている

暫く生きて
情緒はぶっ壊れ

触り心地はザラメの様で
ザラザラとチクチクと触れた指が痛んだ

ぶっ壊れ情緒に
健やかな命の表層に触らせてくれたのは
自分より余程小さい四つの生き物で

さらさら ふわふわ ぬくぬく

しかし他人事
ガラスの向こうで見る命達の話だと思っていた

ああして
"生きている振りをすれば良い"のだな
伴わない言葉と動作は存外簡単に身に付いた

そこにガラスをぶん殴る猛者が現れた

此方もまさか割れるとは思わなかった

ぶっ壊れ触り心地の悪い情緒に掴み掛かり、
あまつさえぶん殴る奴が居るとは思いもしなかった

「痛ぇ...」

その日、自分の指先に
皮膚があり神経があり血が流れている事を自覚した。

どこかの誰かじゃない
自分がアバターとして動かしているのでもなく
この身体こそが自分で、
身体の消失が存在の消失へ繋がる

命は自分にも宿っていた


「まじか。」

そんな大層な物が自分にも有ったとはー…

思いもしなかったな…

命は大事だろ。
知ってるか。
お前も、命持ってんぞ。

見てみろよ。
それ、人間の手だぞ。
お前、人間だったぞ。

命を大事にしろと唱える人間様のひとりだったぞ
笑える話だよな
でも、大事にして良いんだぞ。


「安い綺麗事のくせに、そうだな。」

「ああ、だろ、?」





10/22/2024, 3:32:10 PM