へたばっていた恋人がようやく身体を起こせるようになったみたいで、ベッドにタオルケットの山が出来上がっていた。
「大丈夫?」
「うぅ、だいじょぶですぅ〜」
なんとも気の抜けた声だけれど、台風が通過していた時は頭痛と怠さで唸るのが精一杯だったみたいだから少しだけ安心した。
「暖かいスープ、作ろうか?」
そう伝えながらベッドの山の隣に座り寄り添う。すると彼女からも体重がかかって嬉しい。元々は気遣い屋さんの彼女が〝当たり前〟のように甘えてくれるようになっているんだから。
タオルケットの隙間から白い手が伸びて俺の腰に回される。
「んーん」
言葉と共にきゅっと抱き締められた。胸に彼女の額がすり寄せられる。それが嬉しくて胸が暖かい。
「そばにいればいい?」
「んっ!」
今までになく力強い声に安心して、俺からも彼女を優しく抱きしめた。
おわり
四八四、台風が過ぎ去って
9/12/2025, 2:20:31 PM