前回投稿分からの続き物。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
ここに今年の3月1日から、都内在住の稲荷子狐が、週休完全2日のスケジュールで、御狐修行に出されておりました
が、
実はこのコンコン子狐、まだまだガチモンの子供でして、初めて親元から離れて独りぼっち。
「さびしいなぁ。さびしいなぁ」
前回投稿分で、そんな子狐の寂しい夜に丁度良い、
優しくて噛み心地が良くてブンブン振り回せる楽しいオバケおもちゃが爆誕。
今回のおはなしでは、更に寂しさを解消すべく、
子狐ルームに何故か存在しておった隠し部屋のキッチンを使って、ご近所挨拶用のお餅を作ります。
そうです。「ひなまつり」です。
菱餅ヨモギ餅さくら餅。柏餅も作る予定です。
「うんしょ。うんしょ」
コンコン稲荷子狐は、五穀豊穣が大好きな狐。
稲荷狐となるために、お餅の修行もするのです。
東京の実家たる稲荷神社から、もち米とキネとウスとを持ってきて、お餅をつきます。
「ぺったん、ぺったん!もひとつ、ぺったん!」
稲荷子狐には、稲荷狐の餅つき歌がありました。
「このもち、子ぎつねつくもちにあらず、ぺったん!
みけの神、とこよにいますウカサマの、ぺったん!
かむほき、ほきくるほし、とよほきもとほし!」
母狐から教わった難しい言葉を、ぺったんぺったん歌いながら、由緒正しいらしいウスとキネで、お供物として貰ったお米をつくのです。
味を整えて、色を整えて、形も整えて箱にポン!
ひなまつりのお餅を4時間かけて作りまして、
最後に稲荷狐の御利益をコンコン少し振りかけて、
さあ、出発!
子狐がこれからお世話になるであろう、管理局アパート(仮称)のお隣さんに、ご近所さんに、
お餅を配りに、行きました。
「こんばんは!こんばんは!」
ピンポンピンポン!
コンコン子狐がアパートの、左隣の部屋のドアの、インターホンを鳴らします。
「となりに、ひっこしてきました!
菱餅ヨモギ餅さくら餅、どうぞ」
「あれ、俺、いつの間に奥多摩に帰ってきたっけ」
子狐ルームの右隣は、きっと、ここが隠しキッチンに改造されておるのでしょう、
しっかり施錠されておって、入れませんでした。
子狐ルームの左隣は、きっと、子狐と同じく東京から管理局に通勤しておるのでしょう、
寝ぼけたような様子をして、ドアを開けました。
「そうか。今日は、ひなまつりか……」
「ひなまつり!ひなまつり!
ウカノミタマのオオカミサマの、ごりやくたっぷり!キツネのおもち、どうぞ」
「俺、女じゃないんだよ」
「さくらもち!かしわもち!ごりやく、たっぷり」
「そうかそうか。うんうん。1個ずつください。
色違い厳選のオトモに丁度良いや」
おいくらですか。 おだい、いりません。
稲荷子狐の部屋のお隣さんは、最後まで頭がポワポワで、確率がどうとか御利益頼んだぞとか、
なにやら、最後まで言っておりました。
「こんばんは!こんばんは!」
ひなまつりのお餅をコミュニケーションツールに、
コンコン稲荷子狐は、次のお部屋へ向かいます。
「となりのとなりに、ひっこしてきました!
菱餅ヨモギ餅さくら餅、どうぞ」
御利益たっぷりのお餅は大盛況。
寂しさ解消を目的にお餅を作った子狐は、目的どおり、ちょっとだけ、寂しくなくなりましたとさ。
3/4/2026, 3:00:03 AM