何も無い田舎の高等学校。生徒は各学年10人くらい。
その中でもふたりは異質な恋人だった。
周りの人たちがどんな噂や陰口を言おうが、ふたりはふたりの雰囲気を壊さずにいたのだ。あくまでふたりはふたり、私たちは私たち、といったように彼らは一線を引くのが上手かった。
そんなふたりがある日から学校に来なくなった。けれど数日で戻った___のは、片方の彼だけだった。
彼女の姿は見当たらなかった。
私は思わず聞いてしまった。
「綾乃ちゃんと一緒じゃないの?」
「綾乃は、まだ逃げているよ。君から」
「どうして私なの?」
「ありもしない噂を流したの、君だろう?」
嗚呼、憎らしい。
バレないようにやっていたつもりだったのに。
紛れもなく彼らは"特別"だったのだ。
3/24/2024, 2:42:11 AM