男1「僕、地球から桜を無くそうと思ってるんだけど」
男2「と彼は私に言ってきた、彼とは大学のゼミで顔を合わせる程度で、会話なんてほとんどしたことがなかった。彼は僕がうんともすんとも言わない間に彼は続けて喋りだした。」
男1「桜を世界中から一本一本引っこ抜いていこうったって、そんなことはできやしない、そう簡単じゃないんだよ、だから、桜のほうから地球を出るように仕向けるんだ」
男2「僕は彼が何を言っているのかさっぱりだった」
男1「花屋にスーパーに、とりあえず至る所から桜の種を買ってくるんだ、そしてロケットでその種を月に打ち上げる、時が経って桜でいっぱいの月を見て地球にいる桜達は『月に行った方が僕たちは美しく生きられる!』と思ってどんどん地球から月に移住すると思わないか?」
男2「もう一度声を大にして言う、僕は彼が何を言っているのか、さっっっぱりだった」
男1「んで、すでに色んなところから種を買ってきたんだけどね……」
男2「彼は用意周到だった、僕が一言二言言わせてもらう前に、彼はすべての準備を終わらせていた」
男1「で、色々考えた結果、君の実家の庭でロケットを打ち上げさせてもらうのが一番いいんだけど、許可貰えるかな。」
男2「なぜ、知っているのか、確かに私の実家は山の上だし、土地は広い、ただ何故!なぜ知っているんだこいつ、見てわかる通りこいつはよく分からない、変なやつだ、というか空気読めない、図々しい、僕的にはこんなやつ……」
男1「ねぇなにやってんの!準備終わったよ!」
男2「まだ1人語りしてるんだけど!」
男1「え!??何???」
男2「もういいよ...」
男1「よいっしょ...」(宇宙服を着る)
男2「え!?なんだい?君も乗るの!?」
男1「ああ、もちろんさ、言ってなかったっけ?月でまく種を誰が育てるのさ」
男2「聞いてないよそんなの!第1どうやって帰ってくるのさ、食料とかは?あるのかい?」
男1「食料はそこそこあるさ!キミ『オデッセイ』観たことあるかい?映画の、アレ観て生きていけるって思ったんだ、だから大丈夫、きっと月にやってくる桜たちを見届けてやるさ! 」
男2「そんな!無謀だ!無謀すぎるよ!…………死なないよな?」
男1「死なない。 さぁ、そろそろ発射するぞ!」
男2、離れていく
3.2.1.発射──────────
男2「あれから7年がたつ、僕は今日も映画『オデッセイ』を借りてきた。記念すべき40回目だ。こんなに観てるのに1回も月で生きていけるって思えない」
テレビから桜の開花宣言のニュースが流れる
ニュースキャスター「今年の桜の開花宣言ですが、例年より大きく早まっています。やはり地球温暖化の影響でしょうか…………」(F.O)
男2「もう春か…………あの少しピンク色になった月を見上げて、僕は、そう思えるのです。」
4/4/2025, 11:51:10 AM