冬至。

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真っ暗な視界からまぶたをゆっくりと開けると、そこには俺を見つめる整った顔があった。
さらりとその顔を柔らかな髪が流れ落ちる。
「なんだここは…天国か?」
言った瞬間にぱちりと勢いよく頭を叩かれる。
「いた!!何すんだよ」
「ふざけた事言うなよ。いきなり倒れたから何事かと思うじゃないか!!!」
倒れた…?だれが??
落ち着いて現状を確認してみる。
ここはソファの上で…コイツの膝に。
………ひざまくら!?!?
「やっぱりここは天国じゃないのか!!」
ごろりと寝返りを打ち彼の腰に抱き付く。
「お前!人が心配してんのにふざけんな離れろ!!」
シャツを引っ張られてるが力いっぱい抱きついて離さない。
だってこんな役得なかなかない!!
「やーだー!!」
「おいこら冗談やめろ」
「絶対離さない」
シャツなんて伸びたってどうだっていい。
いまこの瞬間を逃すものか。
しばらくジタバタ俺の下でもがいてたけど盛大にため息を吐いて諦めたみたいだった。
「お前…もう具合はいいのか?」
「んーあぁ…ただの寝不足ー。仕事が立て込んでて寝たから大丈夫よー」
目の前のお腹にすりすりしてると小気味よく頭を叩かれた。
「ひどい…病人よあたし…」
「誰が」
ちらりと恨めしく見上げると冷たく笑われた。
「もういいなら離れろよ。重いんだよ」
「いやだよ。こんな事滅多にないもん」
「ふざけんな」
言葉とは裏腹に優しくあたまを撫でる気配がする。
「あんま無理すんなよな」
小さく聞こえたその声に視線をあげるとその顔は違う方を向いていてほんのり耳が赤く染まってる。
「やっぱりここは天国だなー」
思わず緩んでしまう頬に声だって弾む。
「またバカなこと言ってる」
呆れてこちらを向いたその顔に、手を伸ばして軽くキスをした。



                    (楽園)

5/1/2026, 9:52:46 AM