もうみんなの元に届いただろうか。
みんなにとって決して嬉しくない報せ。
長く続いた俺たちのバンドはひとりが離れ活動を休止する。
脱退と活動休止。
この2つの衝撃を1度に、俺たちに愛を捧げてくれているファンのみんなへ伝えるのはとても辛くてしんどい。
こんなにもお互いに信頼し築いてきた俺らの関係にこんなにも楽しくない出来事を伝えなければいけないと思うと逃げ出したくなるほど嫌だった。
発表が近付くにつれ、上げなければいけない公式文を書いては消し、また書いては足したり減らしたりした。
どう伝えていいか分からない。
俺らだってこれが正しいとは正直分からないんだ。
いつからかズレてきた方向性。
同じ方向を見てがむしゃらにやって来た筈だった。
時には衝突した。それでも話し合い、何とか乗り切って来た。
だけど盛大に祝った周年ライブ。
ここまで来た、ここまで来れたその集大成のライブでやり切ってしまった。
疲れてしまった。消耗し切ってしまった。
俺はずっとロックバンドでありたい。
ロックやってこそのバンドだと思う。
流行りなんて知らない。
だけど、そうでもないメンバーだっている。
流行りに乗るのも悪い事でもないし、幅を広げるのも悪くはない。
分かってはいる。分かってはいるんだ。
お互いの妥協点をすり合わせてここ数年は何とか形を保っていた。
だけど日数が経つにつれ赦せない部分が増えていく。
違う違う俺がやりたいのはこんなのではない。
激しくぶつかる事も増えて来た。
間に入るメンバーも辛いという事も頭から抜け落ちてた。
「もう辞めたい…」
限界だった。いつの間にか口からこぼれ落ちていた。
決して仲良しこよしとまではいかなくても音楽を通して心を通わせたメンバーだった。
こんなに衝突し合って作る音楽とは本当に良いものなのか。
もう全てを手放したくなった。
しばらく沈黙が流れたその後にぽつりと声がした。
「じゃあ、俺が辞める」
それは自分とよく衝突してたメンバーだった。
別にこのバンドを無くしたいわけじゃない、意見が対立する俺が抜ける事で成立するならそうしよう。
という事だった。
そうじゃなかった。
別に俺は彼に抜けて欲しかった訳じゃない。
だからと言って譲歩も出来なかった。
何も答えが出ないままずるずると月日は過ぎた。
このままではいけない。
きっとずっと好きで居てくれるファンならこの異質な状況に気付いてしまうかもしれない。
耐えられないなら俺自身が抜ければいいんだ。
でもそしたら俺の歌は、その声に惚れに惚れ込んだ彼に歌ってもらえない。
俺の歌は彼のためにあるんだ。
彼が歌ってくれなきゃ俺が作るこの歌は意味がないんだ。何の価値もない。
このひとの歌声を手放したくはない。
だから1つの手を離し、ただ黙って差し伸べてくれるもうひとつの手を握りしめる事にした。
それからファンのみんなも。
どうしても無視する事はできない。
こんなに好きで居てくれるのに置いていけるわけがないと思った。
自分だけしんどくて何もかも辞めてしまおうかとも思ったけど、どうしても無視出来なかった。
支えられてここまで来た。
これまでもこれからも。
だから、少しだけ待ってて欲しいんだ。
悲しい報せを届けてしまうかもしれない。
それで傷付き離れてしまうかもしれない。
それはごめんね、受け入れるよ。
でも少しだけその先に明るい未来があるように考えるよ。
だから少しだけ待っててくれないか。
もう少し先で君たちに明るい報せが届けられるように。
(風に乗って)
待っていてくれてありがとう。
これが書き上げたい話しでした!
たくさんのありがとうをあなたに。
4/30/2026, 10:03:08 AM