ストック

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ここは私の理想の世界。
真っ青な空には白い雲が浮かんでる。庭にはいろんな花が咲いている。
爽やかな風に乗って聞こえてくるのは小鳥の声。
ここは私の理想の世界。私だけの、理想の世界。
ずっとずっと、私はこの世界で楽しく暮らすの。

ある日、突然貴方が現れた。私の世界に踏み入ってきた。
私は貴方を追い出そうとした。
「出てってよ!ここは私だけの世界なんだから!!」
貴方はそれでも私にずっと話しかけた。どんなに怒鳴っても、無視しても、貴方はずっと私の傍にいた。
もう怒るのも面倒になった私は、貴方のことを放っておいた。

「君は外の世界には行かないのかい?」
「当たり前よ。私はここで幸せなの。どうして外になんか行かなきゃいけないの?」
貴方は寂しそうに微笑んだ。
「だって、君はひとりぼっちじゃないか」
「…それは私が望んだの。もう私は、誰とも会いたくない」
貴方は私の手を取った。
「君は誰にも会いたくないのかもしれないけど、僕は君に会いたいよ」
…そうなんだ。それなら、外に戻るのもいいかもしれないな。


目を覚ますと、私は病院のベッドの上にいた。
貴方は私の手をとって泣いている。
私は貴方の手を握り返した。貴方は驚いたように私を見る。
「ただいま」
私の言葉に貴方は泣きながら「おかえり」と返してくれた。

7/18/2023, 12:27:46 PM