冬の冷たい風が肌をそっと撫でる。思わずぶるっと身震いをして、より一層体を縮こませる。
パチパチと明るい焚き火に身を寄せて今は何処にいるのか分からない、あの人の事を考えていた。
今は何をしているんだろう。彼の最後の言葉は何だった?何で僕はあの人と止められなかったんだろう。
ひんやりと静まり返った森では考えたくないことほど頭に浮かんできてしまう。負の感情が僕の心に霧をかける。
吐く息が白い。白…僕の親友の色。でも、こんなに冷たくなくてもっと温かみのある、優しい白。
「…早く君に会いたいよ。もう春が待ち遠しい。」
ふと空を見上げると黒い宇宙に星々が散らばっていた。紫みがかったもの、白いもの…そして青い星も。紫白青、それぞれの色3人の顔が浮かび上がる。
「青い…蒼いあの人も同じ空を見ているかな。緑の星は無いけど…僕のことを、思ってくれているのだろうか…」
何もかも見透かされた様な澄んだ青。覚えているのはそれだけ。あの瞳を細めて僕の名前を呼んでよ。
「聞こえているさ、覚えているさ…。俺の大切な息子だからね。あの駄目親父…なんて言われているかと思ったら…ふへっ、照れくさいじゃあないか。」
「そりゃあ緑の星なんてこの世界にもないさ…。でも星と星を繋ぎ合わせればいつでもお前の事を思い出せる。」
「だから、そんな悲しいことを言わないでおくれよ…。」
「今すぐその涙を拭ってやりたい。でも…俺にそんな資格があるとは…俺は思えないんだ。」
「だから、いつかお前の前に颯爽と現れて涙なんか吹き飛ばしちまうさ。この空がある限り。」
追伸
あの可愛い物語をお借りさせていただきました!
10/5/2024, 10:44:35 AM