大空
鳥になりたかった、と望んだ者たちは、みな空へと飛んでいった。
ある者は、この夢を叶えるんだ、と意気込み、空を飛ぶ機械を作って飛んでみせた。
またある者は、こんなはずじゃなかった、とその思いを心に秘めて敬礼をし、お国のためと空を駆けた。
そしてある者は、もうどうだっていい、そう呟いてビルの屋上から空を見上げて両手を広げてとんだ。
誰も彼もあの大空を飛ぶ鳥に憧れたのに、あの自由さに惹かれたのに。
誰一人として、鳥にはなれなかった。鳥に似たその何かはひどく不格好で、不器用な、それでいて諦めの悪いようなそんな何かだった。
12/21/2022, 1:40:59 PM