時雨 天

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踊るように


ふと、空になったケージを見て思い出す――
私が来ると長い耳をピンっと立てて、花をぴくぴく動かす。
ケージの上を開けると立って覗くように顔だけ出す可愛い愛兎。
中を掃除をしたいので、部屋に出すと待ってましたと言わんばかりにダッシュ。
頼むから怪我だけはしないでほしいと苦笑い。またこちらに帰ってきて、お外出た、お外楽しいねと伝えているかのように、鼻でグイグイと私の足を押す。

「わかったわかった、楽しいね。お掃除するよー」

そう声をかけるとまた離れていく。その様子を見ているとまるで、踊るようにぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
本当に楽しそうだ。もっと大きな広い部屋に解き放つと一段と踊りが激しくなりそうだなと思う。
幸せそうな愛兎。こっちも幸せになってくる。家に来てくれて、ありがとうと。
きっと、天国に行っても、ぴょんぴょん飛んだり、草原を駆け回っているのだろう。
そして、見守ってくれているのだろうと――

9/7/2023, 2:02:42 PM