懐香

Open App

お腹の子を亡くした。
ちゃんと産んであげられなくてごめんね。
暗い気持ちばかりが膨れ上がる。
少し前まで、お腹の中で元気に暴れていた子が、もう今はお空にいる。
最後に旦那と沐浴をしてあげたら、自然と涙が溢れた。
可愛い可愛い、私の子。
ごめんね。
ごめんね。
私が周りを見ていなかったから。
あなたじゃなくて、私が死んでいれば。
身代わりになっていれば。
どうして、どうして、階段で突き落とされなければならなかったのだろう。
憎い。
にくい。
にくいにくいにくい
にくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくいにくい

ゆるさない。
あの女をゆるさない。
あいつを地の底に落としてやる。


そう決心した私は、ゆっくりと、
病院の屋上から足を踏み出した。

寒い冬の日、真っ暗な夜空に

鈍い音と共にカラスの鳴き声が響き渡った。

(“夜空を駆ける”)

2/22/2025, 8:11:43 AM