案山子のあぶく

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◎終わらせないで
#38

目を開けると、真っ白な空間に綺麗な人が佇んでいた。
ぼんやりとその後ろ姿を眺めていると、その人はこちらに振り向いて口を動かした。

「────」

なんて言ったのか聞き取れなくて首を傾げると、その人はやんわりと微笑んだ。

「ここで終わらせないで」

聞き取れた瞬間空間にヒビが入る。
どういう意味か聞きたくてあらん限りの声で叫ぶも、困ったような顔をしてその人はこちらに手を振った。



目を開けると、色の着いた世界が目の前に広がっていた。
一定の間隔を刻む機械音が鼓膜に届く。
どうやら、死に損なったようだ。

11/29/2024, 10:07:12 AM