そーっとそーっと足音を立てないようにあたしはお姉ちゃんの部屋の前まで来た。
ドアもそっと開けて、バレないように部屋の中に入って、ベッドでお昼寝中のお姉ちゃんの顔を覗き込む。
……うんうん、すやすや良く寝てるみたい。
ふっふっふ……ついに! あのイタズラをやる時が来たわ!
寝てる人のほっぺにぐるぐる模様を描くっていうイタズラをね!
さあレッツイタズラターイム!
ペンのフタを開けた瞬間、カッとお姉ちゃんの目が開いてあたしの手をガッチリ掴んだ。
あまりに突然だったからつい、ぎゃー! と悲鳴をあげたあたしにお姉ちゃんはニコォ…と怖い笑顔を向けた。
「ねえ…… 今 何をしようと した……?」
「な……、何も! 何もしてない! まだ何もしてないわ!」
「じゃあ その ペンは 何……?」
「こっ、ここ、これは、その……」
「な あ に?」
お姉ちゃんの圧が怖い。泣きたいけど、泣いたらあたしが悪いことをしたって認めることになる。
でもやっぱり怖い……!
「ご……ごめんなさい……。ひぐっ、謝るから…ゆるしてください……!」
あたしの決死の謝罪にお姉ちゃんはフッと笑ってからあたしの耳元で囁いた。
「昼寝の邪魔しないでね」
手をパッと離されて、あたしはリビングまで走って逃げた。
ソファのすみっこでヒザを抱えてグズグズ泣きながらあたしは心に誓った。
お姉ちゃんにイタズラは二度としないでおこう……
1/14/2025, 1:41:45 PM