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恋なんて(テーマ バカみたい)


 薬物中毒にでもなったみたいで。
 バカみたいなことをしたり、勝手に苦しんだり、勝手に幸せになったり。

 『人間は恋と革命のために生まれて来たのだ』という言葉がある。太宰治の『斜陽』の中の言葉だ。

 恋とは、子を残すための、人の個の動物としての本能。
 革命とは、現状を改善して進化するための、人の集団としての、『人間』としての本能。

 両方とも本能。

 『寄生獣』で、『人間はもう一つ脳を持っている』という台詞がある。

 人間とは、個々の人とは別に、組織、集団として別の生き物を構成しているのだ。

 その集団としての生き物の本能が『革命』だったり、あるいは国家の維持だったり、経済活動だったりする。

 集団としての人間を維持するための行為。
 ルールを決め、集団を壊す個を『犯罪者』として排除して、ルールが現実に合わなくなるとルールを見直す。
 そして、ルールを管理する『脳』にあたる集団と組織そのものが現実と適合しなくなり、『集団を維持するのに適切でない』と判断すると成り代わる。これが革命。

 もちろん、これが正しく機能するときばかりではない。
 病には、体の持つ元々の機能がうまく働かないために起こるものもたくさんある。そういう革命もある。

 何が言いたいかというと、恋も革命も、本能に基づくものであり、『そのために生まれてきた』というのは間違いではないが、それが正しいかというと、それに限らないと言うことだ。

 恋に夢中になる人が端から見ると浮かれてバカみたいに見えるように、革命家は夢みたいなことに人生をかけるバカみたいに見える。

 ただし、一方で、その本能に基づく行動がなければ、革命は起きないし、恋も成就することはない。

 『バカなことを』と笑っていた求愛行動ができず、生涯独身は現代では珍しくない。

 『生活が苦しいのに、誰も国を変えようとしない』と嘆くばかりで、皆が我慢するばかり。
 なぜなら、革命なんてバカみたいなことをしない、利口で忍耐強い国民ばかりになったから。
 そしてますます苦しくなる。

 バカみたいと思っていても、素直にバカをやる必要がある場面が、人生にはある。


 

3/23/2024, 9:24:53 AM