ね。

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″あなたの願いを叶えます″

店の看板にはこう書いてあった。
私は、幼い妹と共に店のドアを開けた。
中には、古びた机と椅子が二脚あるだけで、机の上には紙が1枚とペンが置いてあった。その紙に、願いを書くのだ。


私は妹を膝にのせ、椅子に座った。
ペンを持つのは久しぶりだ。緊張もあって、文字を書く手が震える。
幼い妹は、私の顔を心配そうに見た。


「大丈夫。また、お母さんに会えるからね。」
私は、できるかぎり落ち着いた声で妹に伝えた。うん、と彼女はうなずいた。




母が天国にいってから、幼い妹は毎日毎日泣き続けた。母が死んだことも、もう2度と会えないことも、彼女には理解できなかった。なぜ突然いなくなってしまったのか、まだ幼い妹には分かるわけがなかった。



この店の話を聞いたとき、たった1つの希望の光がみえたような気がした。
死んでしまったものに、もう会えるはずはないと思いつつ、私は意を決して妹を連れ、ここに来たのだ。





願いを書き終えると、私たちは店の外に出た。そんなに時間が経ったようには感じなかったが、空には一番星がキラキラしていた。

「なんだか、おかあさんみたい。」
と、一番星を指さしながら幼い妹が笑った。彼女の笑顔をみたのは、久しぶりだった。緊張が解けた私も、空を見上げて微笑んだ。


優しくて、穏やかな、美しい夜だった。











3/3/2026, 7:14:17 AM