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『冬晴れ』

 冷たい風が肌を刺す。雪の降らない朝は寒い。
 都会のボンは知らないだろうが、雲ひとつない晴れの日の、空高い朝がいっとう寒いのだ。
 耳当てとマスクと手袋、そして何より、たっぷりとした生地のマフラー。冬にはこれがないと、かじかんで凍えてしまう。
 水蒸気は一瞬で結晶に。ほぅと吐いた息は白い。
 厚い布さえ染みてくる、凍てつく冬の冷気が、遠い春を恋しがらせる。
 そんな、ある冬の晴れの日。

1/5/2024, 5:03:35 PM