味醂風調味料

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ぴぃぴぃ
きゃあきゃあ
愛らしく、あるいは喧しく。

ふらりと立ち寄ったペットショップ、飼うわけではないけれど目についた鮮やかな色合いに足を踏み入れた鳥類のコーナー。
こんなに小さいのに中々な値段だなとか、騒がしいのはコイツかとか考えながらキョロキョロと店内を歩く。

狭そうな鳥かごの中で身を寄せ会う小鳥たち、窮屈そうな大型の白い鳥、澄ました顔で歌うキレイな鳥。
小さな世界で生きる彼らは1度でも空を夢見たことはあるのだろうか。
いや、そもそも空を知らないかもしれない、外敵なんて存在を見たこともないのかもしれない。
綺麗な水と餌を与えられ、定期的なケアを受ける穏やかな暮らし。
外の世界を知らない、管理される鳥たち。
不自由な世界で安心して生きている、外の自由を知らない鳥たち。

ふと思い出す自分の周りの奴らの言葉、僕の事なんてろくに知らない奴らの言葉。
聞こえる度に肩身が狭くなる、窮屈さを感じる。

鳥かごどころかまるで檻のような

いや違う、違う。僕は外にいるんだ。自分の意思で。
だから少しばかり羨ましく感じるなんて、ないはずだ。
そうだ僕は人間なんだ、彼らよりも多くの権限を持っていて、自分の未来は自分で決められる、そのはずだ。

これ以上居続ける気分じゃなくなった。
店を出て、最寄りの駅に向かう。
明日も仕事だ頑張ろう、理不尽も不公平も呑み込んで、同じ日々を繰り返す。
あの鳥たちだって必ずしも良い主人に出会えるとは限らない、自分と同じだ、同じはずなんだ。

だから羨ましいなんて、無いんだ。
管理され、安心安全に過ごせる彼らが羨ましいなんて。

7/25/2023, 12:31:49 PM