あんかけパスタ

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XXXX年X月27日
引き続き先輩に代わり日誌を書きます。
端末の電力供給が完了したため内部データを検めました。
最終の報告日以降に収集された画像データも踏まえると、どうやら彼らは『化物』に遭遇していたようです。
最初の遭遇は報告日翌日。雨に佇む人影を発見。
成人男性ほどの背丈であり、シルエットからは異常は見られなかったとのこと。しかし、振り返った人影のフードの向こう側に本来あるべき顔はなく、まるでインクで塗りつぶされたようにぐちゃぐちゃとした暗闇が存在していたと書かれています。
先輩が遭遇したという巨大な鯨骨の化物とは全く異なる形状をしています。先輩に確認をしましたが、それらしい人影に遭遇した記憶はないそうです。主な探索地域が北側だったからでしょうか?少なくとも二体の化物がこの都市には存在すると思ったほうが良さようです。

発見当初人影は顔を確認できる距離にありながらも特に化物に攻撃性は見られなかったようですが、調査員の一人が発砲した直後から様子が一変。一番距離の近い調査員へ次々に襲いかかり、二名の負傷者を出し離脱に成功。
その後暫く、段々と頻度を増しながら人影の化物に遭遇しては退避を繰り返していたようです。その間に一名が死亡しています。
調査団は互いに協力しながら化物の撃退と本部への連絡に力を注いでいました。濃霧の影響か一向に連絡がつかず調査員達の間に焦燥が募っていた頃、ことが起こります。
化物が拠点内部に出没。調査員の混乱の中化物が姿を消すまでに三名が負傷、一名が死亡。
この襲撃を受け、端末の持ち主をはじめとした調査員達に一つの疑念が浮かびました。化物を拠点に招き入れた何者かがいる可能性です。彼らは互いを信用できなくなり、端末の持ち主を含む数名は食料を持ち出して籠城を始めました。
仕掛けられていた罠は人影の化物への対策でもあり、部屋に侵入を試みる裏切り者を仕留めるための仕掛けでもあったようです。罠を態々屋内に用意した理由は寛解しました。鯨骨の化物狙いであればもっと射線は高く、何より拠点の外側へ設置するはずだと薄々感じていましたので。

8/27/2024, 2:05:37 PM