「おいA!お前、
カセットデッキまだ持ってたよな」
と、Bからのライン。
「持ってるけど…何」
「小さい時に録音した、幽霊の声の入った
テープが出てきたんだよ〜」
「なんだそれ…」
というわけで、俺のうちにBが来た。
例の(霊の?)テープを持って。
せっかくだから部屋まで暗くして、
再生ボタンを押す。
…ニャーン、ニャーン
え、なんかそれっぽいし。
しかし、延々と猫の鳴き声が続く。
「B、何これ」
と横を向いて俺は固まった。
暗がりの中で、Bは静かに泣いていた。
「…これ、おはぎだ。おはぎの声だ」
「お前の飼ってた…?」
「俺、今はもう無い、初めてのラジカセ
買ってもらえて、嬉しくて、
何か録音しようと思って…
そしたら変なノイズ録れて、
消そうと思って、近くにいた
おはぎの声録って…タイトル変えるの忘れて
幽霊の声って、おはぎごめん、ごめんな」
俺は無言で停止ボタンを押して、
部屋の電気をつけた。
Bは泣き止んで、
「A、ありがとう」と言った。
俺は、
「もしかしたらおはぎは、
幽霊の声のタイトルの方が、
お前が食いつくから、
ずっと待ってたのかもしれないな」
と言った。
Bがまた泣き出しそうになったので、
慌ててティッシュの箱を探した。
10/28/2023, 1:59:12 PM