NoName

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今、を生きる。生きて、行くのは、大変だったわね…あなた、
お仏壇の上で、うとうと、しながら、線香を上げていたら、いっときの夢を見た…
若い頃の、あなたに、また、出会えた…
付き合ってたのは、16歳の幼馴染の頃だった…
「ねえ、ねえ、明日さあ?」
「明日、塾あるから、ごめん」
「もう、いつも、そうやって…」
「知らないから」
「ごめん」
そんな、感じだった…いつも、結婚してからも、
子供は、上京して、働いて…早くに無くなった…

「私、ひとり、ぼっちになってしまったのね」
「若い頃のあなたに会えて、良かったわ」
私も…あなたと、同じところへ行けるかしら?
ひとり、ぼっちは、寂しいものね…あなた…
……ありがとう………
そう、言ったら、若い頃のあなたは、笑ってくれて、いつの間にか、倒れていた…私は、生きをひきとっていた…会えたのは、幻だった…けど…神様を、許そうと、思う。
          作品宮井絵莉子  

7/20/2025, 9:33:37 PM