川柳えむ

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 部屋の片隅で燻っている。灰皿の上にある潰れた煙草の吸い殻のように。
 部屋の片隅に溜まっていく埃のように。そこにあっても気にしないか、不要で汚れた物として蔑んだ目で見られるか。
 新しい煙草に火を点け、紫煙を吐き出す。
 つまんねー世界。
 自分にとっての世界は、この六畳とたいして変わらない狭い世界で、その世界の片隅で誰にも気にされず目にも留められず生きている。きっとなくなっても気付かれない。消えたらむしろ喜ばれるような。
 消えてしまいたくなる。でも、本当は死にたくない。そんな勇気はないから。
 部屋の片隅の埃だって、潰れた煙草の吸い殻だったとしたって、今を生きている。たとえつまんねー世界だとしても。この世界の片隅で生きている。
 毎日部屋の片隅で、煙草を吸いながらそんなことを考えている。


『部屋の片隅で』

12/7/2023, 10:34:09 PM