NoName2

Open App

傷だらけの天使たちが宙吊りになっている。
純白の羽根はゆらゆらと揺れて、変色した赤いカーペットの上に落ちる。
まだ、生きている。
ここから解放しろと言わんばかりに、羽をはためかせている。
そのせいで赤いカーペットが白に侵食されていく。
まだ、耐えている。
天使も血は赤かった。なんだ、神父様の嘘つき。
天使たちは血を流さないんじゃないの?なーんだ。
まだ、抵抗している。
「やめてください。」と願ってるみたい、どうして?ただみんなの為に、死んじゃった村のみんなの為に、責任を取らせているだけだよ?
雪のように羽根が教会の中を舞う。
まだ、否定している。
知ってる、天使たちが村を浄化したこと。
僕の大切な村を、身勝手な理由で。
まだ、錯覚している。
確かに神や天使は偉い、今の世界の基礎を作り上げた。
けど、権力は虐殺を肯定する理由にならない。
まだ、生きようとしている。
なんで祈ってたんだろう、神様たちはこんなにも残酷で酷い奴らばかりなのに。
一旦、全ての羽が落ちるまで待ってみよう。
まだ、救済を求めている。
普段は求められる側が、必死に助けを求めるのはとても面白い光景だと思う。
羽根は揺れて、この全てを白く染めようとしている。
まだ、羽根は揺れて落ち続けている。
じゃあ、そろそろ許してあげようかな。
…天使って死んだらどうなるのだろう、気になる。
まだ、魂は動いている。
天使たちをひたすら撃ち続けた。
羽根がそれに合わせて、少し高いところからゆらゆらと落ちてくる。
まだ、血は流れている。
白く柔らかそうな床の上で、天使は横たわる。
神様はどんな風に羽根が揺れて落ちるかな?ワクワク。
まだ、残っている。
天使たちが宙吊りになっている。
純白の羽根はゆらゆらと揺れた後、みんな赤いカーペットの上で眠ってしまった。

10/25/2025, 3:26:01 PM