柊 蒼真

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#手を繋いで

【背筋が凍るほどの】

「お外寒くなって来たね、そろそろ帰ろうか。
パパがお家で待ってるよ」

「うん!今日のご飯なぁに?」

「今日はね、パパが作ってくれるカレーだよ」

「やった!パパのカレー大好き!」

「じゃあ、手を繋いで帰ろうね」

そんな会話をして帰って行く女の子とお母さん。

よほど両親が好きなんだろう、お母さんと手を繋ぎながら「パーパ、パーパ大好きパーパ♪」って歌を歌って華麗なスキップをして帰っていた。

可愛い子だなぁ…なんて思っていると、息子が私を呼んでいた。

「ママ、もう帰りたい…」

そう言う息子の手は悴んでいた。

「そうだね、早く帰って体温めよう」

私は悴む我が子の手を握り、家までの道を少しずつ歩いて帰った。
帰り道の途中、息子が私に行った。

「さっき、ママなに見てたの?」

「可愛い子と、そのお母さんを見てたの。仲が良い家族なんだなぁ…って」

「女の子なんていた?遊んでた子達、みんな男の子だったよ?」

息子の一言で背筋が凍った。
あの家族は見間違いだったのか…と思っていたら、すぐ隣をあの家族が通った。

「手を繋いで帰ろうね…」

息子が私の手を引っ張る。

「ママ、大丈夫…?具合悪そう…もう早く帰ろ!」

息子はそう言って私を引っ張って家に走って行く。
家に着いて安心したけど、あの家族がなんだったのかは謎のまま…

12/10/2022, 9:50:29 AM