《無垢》
「せんぱ〜い」
「ん?なんだ、お前か」
こいつは俺にずっと付きまとってくる…なんというか、犬みたいな後輩だ。多分、幼馴染ってやつだと思う。
前は活発そのものだったが今は清楚系美少女になっている…「見た目だけ」は。
それ故、こいつはすごくモテる。そして、俺はクラスの男子共から妬まれている。
「先輩?聞いてる?お〜い」
「え?何の話?」
「私が無垢?ってやつかどうかって話ですよ!」
「どういう風の吹き回しだ」
「いや〜、クラスの男子がね?付き合うなら純粋無垢な人がいいって言ってて純粋無垢の無垢ってなんだ?って思ったんですよね」
「ふ〜ん」
「なんでそんなに興味なさそうなんですか?!」
「調べればいいんじゃね?って思ったからだよ」
「うっ…」
純粋無垢、か。俺から見ると十分純粋無垢だと思うがなぁ。いや…でもこんなにしつこく絡んでくるのは違うかもしれない。
「まぁ…俺的にはお前は純粋無垢な方だと思うぞ」
「え?そうなんだ~」
そしてこいつはさらに、
「じゃあさ、先輩は純粋無垢な女の子は好き、ですか?」
「うーん」
と、口を開こうとして気付いた。ここでうん、と答えたら俺がこいつを好きみたいになるのでは?
実際、好きではあるがラブではなくライクなのだ。
ならばどう答えるのが正解か?
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私は先輩にそれとなく私のことが好きか探りを入れた。
もし、この質問で好きと答えたら、私にチャンスがあるということになる。
私は先輩のことがだいぶ長いこと好きで…
なかなか告白は出来ないでいた。
でもそろそろこれを私の中で終わらせたかった。だから聞いた。
そして―先輩の返答は
「好きではあるけどなぁ…」
これは…巡ってきたチャンスだ。
さて、このあと私はどうしようか……
5/31/2024, 11:55:26 AM