失ったものはもう無い。
俺達の目の前には荒れ果てた野原だった筈の場所。
そして、俺等の足元には血が飛び散っていた跡。
「☓☓っ…!!」
悲しげな背中を見せている俺等の味方。
俺達はコイツを家に返そうと、此処に来たのだ。
服はもうボロボロになって、所々肌が露出しているが、其処には痛々しい傷に血が出ていた。
「……負けたわ。全員、死んでしまったわ。」
俺等の顔も見ずに背中を向けながらそう言う彼奴。
そんな事より俺達は彼奴が生きているだけで嬉しくて、涙が出てしまっていた。
「もう良いからっ……早く、早く帰ろうぜ、?」
「……俺はっ…、彼奴等のヒーローにはなれなかった。救世主にもなれなかった。」
今にも消えてしまいそうな彼奴の強い背中に、俺達は泣くことしか出来なかった。
9/2/2024, 10:20:57 AM